この文書は、ソニーのスマート機能付きステレオヘッドセット「Xperia Ear Duo XEA20」(エクスペリア・イヤー・デュオ)の情報を書き留めた物です。
Androidスマートフォンの場合は専用アプリ「Assistant for Xperia」(以下、Assistant)のインストールにより、XEA20内蔵センサーとOSが連携したアシスタント機能が使える。Xperiaの名前が付いているがAndroidベースのスマートフォンならXperia以外でも制約なく使える。状況に応じてアシスタント機能がしゃべったり、声でスマホを操作できるため、歩行中などで画面を見なくてもスマホを活用できる。
数週間ほど頻繁に利用していると、「またご一緒できて嬉しいです」といったフレンドリーな会話が聴けるようになる。ただの音声認識ヘッドフォンというよりは、かつてソニーがAIBO(アイボ)で目指した領域に改めて踏み込んだ製品といえる。それはソニーがこの製品を「ヘッドフォン」ではなく「Xperia Smart Products」に分類していることからも窺える。
なお、iPhoneの場合はOS標準のSiriによるアシスタント機能をそのまま使う形になる。
従来のヘッドフォンは外音の遮断に重点が置かれていた。音楽をじっくり聞いたり、自分だけの空間に「切り替え」ができる反面、周囲の状況や呼びかけに気づけなかったり聞きづらいことがストレスになる場合もある。
一方でXEA20は、むしろ外音を何の操作も無しにそのまま聞けることを重視した設計。音楽をじっくり楽しむのには向かないが、日常生活に自分だけのBGMやアシスタント機能を「足す」という、新しい利用スタイルを得られる。言うなれば、自分にだけ聞こえるスマートスピーカーを装備しているような使い方となる。
機器との接続はBluetoothで、さらに左右のヘッドフォン間はNFMI(近距離電磁誘導)によるワイヤレス接続のため、ケーブルが一切ない。このため服や体とケーブルが擦れる音が発生しない。また、オープンイヤー型のため、装着したまま食事をしても咀嚼音が増幅されない。このため、着けていることを忘れてしまうほど、ヘッドフォンにありがちな雑音が何も発生しない。
XEA20はこれまでのヘッドフォンにない新しい形状なので、一見装着感が悪いように見える。しかし実際には、非常に軽量な上、耳の穴にひっかけて耳たぶで軽くホールドする二重構造なので、走ったり首を振ったりしてもグラつくことはない。大きさが異なる3種類のリングサポーター(イヤーピース)が付属しているので、自分に合わせて付け替えができる。下掛けスタイルなので眼鏡とも干渉しない。オープンエアー型なので蒸れも少ない。
ただ重心としてはぶら下げる構造なので、上着の襟などが当たって下方向から持ち上げるような接触があると、外れそうになることがある。この点には注意したい。
スマートアシスタント機能を使わず通常のワイヤレスヘッドフォンとして、BluetoothのA2DPプロファイルに対応しているスマートフォン、パソコン、ウォークマンなど数多くの機器と接続でき、音声をステレオで楽しめる。
小型軽量ゆえ、音楽を聴き続けた場合の充電池(バッテリー)の持ち時間は4時間程度。利用スタイルによっては短い場合も。ただし付属ケースにも充電池が内蔵されており、ケースにしまうと最大3回分の充電ができる。約7分の充電で約1時間再生できる。
複数の機器とペアリングしても、同時に使えるのは1台のBluetooth機器だけ。このため、音楽プレイヤー(ウォークマンやiPod)で曲を聴きつつ、スマホの電話着信を受ける、といったことは出来ない。XEA20は、できるだけスマホと接続したほうが活用しやすい。
Android OSでXEA20のスマート機能を実現するAssistantは、数ヶ月に一度更新される。更新が通知されてからインストールするまでは、スマート機能が使えない(仮説だが、音声認識サーバーが複数バージョンのAssistantを同時に扱えないためだろうか)。このため出先で更新が通知されると、Assistantを使えず困る。
Assistantによる標準的な説明や挨拶などは声優が吹き込んだ音声そのままなので、流暢かつ自然だ。だがニュースや通知などは、声質は維持しつつ音声合成によって発音される。その性質上、人名などの読み違いも多少ある他、「~する方は」を「~するホウは」と読み上げたりする。全体的には精度が高いので、御愛敬とみなすべき点か。ただニュースの読み上げで末尾が上がりがちなので、どれもスポーツ新聞の見出しのように聞こえてしまうのは改善して欲しい。
XEA20は2018年4月21日の発売以来、ソニーストアのほか、Amazon.co.jpなどの通販や、家電量販店のヘッドフォン売り場など、幅広い方法で購入できる。価格は公式にはオープン価格だが、ソニーストアでは税込32,270円。2019年2月時点の市場価格は税込2万5千円前後。参考までに以下にamazon.co.jpへのリンクを示す。
ソニーストアの場合、製品だけを購入すると割高だが、故障・破損・水ぬれ・火災・水害・落雷への5年保証を3,000円+税で追加できる。XEA20自体は防水に対応しているが、常に持ち歩く製品だけに保証を付けるか考えるのは悪くない。
2018年12月20日13時から2019年2月25日10時までの限定予約受付で「ソードアート・オンライン -アリシゼーション- 』スペシャルパッケージ」が販売されている。外装はスペシャルパッケージ、本体はゴールド、リングサポーターは赤色、オリジナルポーチ付という特別構成。音声がソードアート・オンラインの「アスナ」になっているAssistantを無料で追加できる、ストアカードも添付されている。購入特典としてソニーストアの場合はポストカード、ANIPLEX+ではタペストリーが付く。
なお「Xperia Ear Duo(アスナ)」のアプリだけであれば、通常版のXEA20ユーザーでも、Google Playストアから1,500円でアプリを購入して利用できる。
Assistantの初期設定で自宅と職場を登録した状態で、スマホと接続したXEA20を装着しておくと、位置情報に基づいてスマート機能が作動する。「いってらっしゃい」「お疲れ様でした」といった挨拶のあとに、天気やニュースなどを読み上げる。始めに挨拶が読み上げられるので、自然とAssistantの話に意識が向く。
音楽やradikoを再生したままXEA20を取り外すと、再生が自動的に止まる。その後、充電などをして再び装着すると、スマート機能の読み上げが行われた後「では音楽を再生します」とアナウンスされて、中断されていた音楽やradikoの再生が再開される。
XEA20を装着したとき「接続しました」とアナウンスされた後に、Assistant起動の効果音とアナウンスが鳴らないときは、Assistantで「一部の機能が使えません」の状態になっていることがある。確実ではないが解決策を以下に示す。
スマホのOS(Android)の設定画面でアプリごとの設定を変更できるので、Assistantの自動起動を許可する設定に変更する。また省電力機能の対象外に設定する。このあと、Bluetoothを一度OFFにしてから再度ONを試す。
※OPPO製スマホのColorOSでは、ホーム画面のAssistantアプリアイコンを長押しすると表示される「アプリ情報」を選ぶ。アプリ情報画面に切り替わるので「自動起動を許可」をON(ボタンが右側になり緑色が表示される)に設定する。さらに「電力消費保護 >」の「バックグラウンド実行を許可する」をONに設定する。
スマホのOS(Android)側で、radikoの自動起動を許可する設定に変更する。また省電力機能の対象外に設定する。radiko自体、起動直後に位置情報で放送地域を特定する処理があるため、おそらくはこれが原因で、再生までに時間がかかったり、位置情報の取得に失敗して再生に至らないことがある。
スマホ(接続先)とXEA20との間に電波を妨害する要因があると、音が途切れる。2.4GHzのWi-Fiと同じく、電子レンジなどが近くにあると問題が起きやすい。
また、外でも電波を妨害する要因により、音が途切れることがある。電波が飛び交っている家電量販店や、店頭の盗難防止ゲートなどを通るときなど。
詳しくは公式Q&Aの「Xperia Ear Duo(XEA20)で音が途切れたり、ノイズが入ったりします。」を参照。充電池が残っているはずのXEA20が反応しないときにも参考になる。
XEA20は省電力のため、音声が流れていないときはスリープ状態になっている。そしてスマホ側で音声が出力された直後に、まずメインのR(右)側がONになり、続いてL(左)側がONになる。この動作にはややタイムラグがあり、最初の0.5~1秒だけ音声が聞こえづらいときがある。
このため、例えばGoogleマップで「左です」「右です」といった短い音声が突如発声されると、XEA20では聞こえないときがある。応急処置だが、音楽やradikoを流して音声出力が続いている状態であれば、この問題を防げる。なお、Googleマップが音声を出す間だけ、聞き取りやすいよう音楽は自動的に小さくなる。
特に音量の上げ下げをするためのスライド操作がうまく認識されず、タップになってしまうことがある。この問題を防ぐには、音量の上下はタップ動作を指定していないR(右)側で行う。また操作時は、軽く触れてから上や下に指を滑らせると認識されやすい。なお、音量はスライドさせた移動量とは連動せず、どちらかに1段階変わるイメージだ。
※OPPO製スマホのColorOSでは、XEA20(Assistant)と音楽アプリの音量は、別々の扱いとなるようだ。例えば、XEA20の音量を上げすぎると「キンキン」と警告音が鳴るが、スマホ本体の音量操作で音楽の音量は上げられる。