『RigidChips』の操作説明

ひとまず動かしてみよう

『RigidChips』は、ZIP形式の圧縮ファイルとして配布されています。『RigidChips』を作動させるには、ダウンロードした圧縮ファイルをZIP形式で展開する必要があります。「Windows ME」や「Windows XP」では、ダウンロードしたファイルのショートカットメニューから「すべて展開」を選択すれば展開できます。上記以外のOSでは、展開のために別途「Lhaca」などのソフトウェアが必要です。

『RigidChips』をZIP形式で展開したら、実行ファイル「RigidChips120.exe」(拡張子を表示しない設定では「RigidChips120」)を開きましょう。『RigidChips』を開くと、「Resources」フォルダにある「Land.x」というLandと「Basic.txt」というChipsが自動的に読み込まれ、すぐにChipsを動かすことができます。まずは、「↑」キーで前方へ加速しながら、「←」キーまたは「→」キーで方向を制御してみましょう。ブレーキは「A」キー、後退は「↓」キーです。

『RigidChips』の画面表示

画面左上には、『RigidChips』に読み込んだChipsに設定されているScriptの内容が表示されます。Scriptにprint文が無い場合は表示されません。

画面右上には、現在選択されている視点の識別名や、有効にしているRegulationの状態が表示されます。左から順に「G」は「Gravity」、「A」は「Resistance of Air」、「T」は「Usable Wheel-Torque」、「J」は「Usable Jet」、「U」は「Unbreakable」、「C」は「Usable CCD」、「S」は「Usable Script」を示しています。

画面左下には、『RigidChips』に読み込んだChipsに設定されているvalの内容が表示されます。Chipsに設定された変数の変化を確認できます。

画面右下には、ChipsのCoreからの視点(CCDの映像)と4つのメーターが表示されます。4つのメーターのうち、一番左のものは方位計で、Coreの方位と傾きを示します。左から2番目は、動力の力を示します。右から2番目は高度を示し、大きい針の1目盛りが10メートル、小さい針の1目盛りが1キロメートルを指します。一番右は、時速を示し、小さな目盛りは左右の重力加速度を示します。

ファイルの読み込み

ファイルの読み込みにより、起動時とは別のChipsやLandへ変更できます。『RigidChips』で使用するChipsやLandは、ファイルとして存在します。メニューバーの「File」から「Open Chips」や「Open Land」を選択し、読み込むファイルを決定してください。

キーボードでも操作が可能です。「Ctrl」キーを押しながら「C」を押すと「Open Chips」、「Ctrl」キーを押しながら「L」を押すと「Open Chips」のダイアログが開きます。「Ctrl」キーを押しながら「U」を押すと、現在使用しているChipsを再度読み込みます。再度の読み込みは、テキストエディタで直接Chipsを編集しているときに、その変更をすぐ反映するのに役立ちます。

Landに「Land.x」または「Land1.x」を読み込んだ状態で、「Open Game」にて「land1race.rcg」を読み込むと、簡単なタイムアタックゲームが遊べます。指示されたゲートをいかに素早く通れるか挑戦してみましょう。通るゲートの位置は、方位計にて青いマークで示されます。「Land.x」や「Land1.x」以外のLandで「land1race.rcg」を読み込むことも出来ますが、読み込んだLandによってはスタートや完走ができません。

Chipsの操作

Chipsを動かす

Chipsを操作するために、17個のキーを用いることが出来ます。どのキーを押すとどのような動きをするのかは、『RigidChips』に読み込んだChipsに依ります。Chipsにおいてキーはkey番号で設定されており、『RigidChips』上でkey番号が実際のキーに割り当てられています。初期状態ではkey番号の0番から16番まで順に「↑」「↓」「←」「→」「Z」「X」「C」「A」「S」「D」「V」「B」「F」「G」「Q」「W」「E」キーが割り当てられています。

例えば、『RigidChips』起動時に読み込まれるChips「Basic.txt」(「Resources」フォルダに存在)は、key番号の0番が加速、1番が逆加速、2番が左ハンドル、3番が右ハンドル、7番がブレーキ、8番がハンドルブレーキになっています。すなわち、『RigidChips』の初期状態で実際に割り当てられているキーでいえば、「↑」が加速、「↓」が逆加速、「←」が左ハンドル、「→」が右ハンドル、「A」がブレーキ、「S」がハンドルブレーキ、ということになります。

Chipsの強制操作

Chipsを、物理計算に反して半ば強制的に制御することも出来ます。「R」キーを押すと、Chipsの姿勢を立て直します。Chipsが横転して走行不能な場合に利用すると良いでしょう。「U」キーを押すと、Landにおける開始地点に戻った上でChipsの姿勢を立て直します。どちらの操作も、ChipsにあるCoreの表裏と、Landを構成する空間の天地を合わせるようにして姿勢を立て直します。キーを押しっぱなしにするとChipsが回転し、着地の方角を調整できます。

RegulationのUnbreakableを無効にしていてChipsが分解している場合、姿勢を立て直すとChipsが再構成されます。また、姿勢の立て直しでは、Landの地上より少し上の位置からChipsを登場させる格好になります。例えば、Chipsがトンネルの中にある状態で「R」キーを押すと、Chipsはトンネルではなく、それを覆う山の上に登場します。

「Y」キーを押すと、強制的にChipsをLandの上方向に加速させます。ChipsにあるCoreに対してだけ上方向の力が掛かるので、Coreが重心にない大抵のChipsは、この操作で姿勢を崩すことでしょう。

Regulationの変更

RigidChipsはシミュレータ(実験ソフト)なので、重力や空気抵抗といったRegulationの有無を簡単に変更できます。Regulationの変更には、「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」キーが割り当てられています。この操作は、メニューバーの「Regulation」からも行えます。

「Regulation」には、以下の要素が用意されています。

Gravity
重力。地上で下方向に加わる力です。これを無効にすると、無重力となります。「1」キーで切り替えられます。
Resistance of Air
空気抵抗。Chipsを構成する各Chipが受ける空気の抵抗です。これを無効にすると、空気抵抗が無くなり、例えば飛行系のChipsは飛行できなくなります。「2」キーで切り替えられます。
Usable Wheel-Torque
Wheel動力の使用。ChipsにあるWheelやRLWの自力回転を使用します。これを無効にすると、ChipsのWheelやRLWにEngineの力が伝わらなくなります。「3」キーで切り替えられます。
Usable Jet
Jetの使用。ChipsにあるJetの噴射機能を使います。これを無効にすると、Jetは噴射機能を使えなくなります。「4」キーで切り替えられます。
Unbreakable
壊れない。Chipsに衝撃が加わっても、Chipsが分解しません。これを無効にすると、衝撃が加わったChipsは、接合部分から分離します。開発者は、無効にすることを勧めています。「5」キーで切り替えられます。
Usable CCD
CCDの使用。ChipsのCoreに搭載されているCCDを使用します。これを無効にすると、CCDが機能しなくなります。CCDによって何らかの制御を行うChipsの場合に影響します。「6」キーで切り替えられます。
Usable Script
Scriptの使用。Chipsに設定されているScriptを使用します。これを無効にすると、ChipsがScriptによって何らかの自動制御を行っている場合、自動制御が効かなくなります。「7」キーで切り替えられます。

Log機能

RigidChipsでは、Chipsの動作状況を記録、再生することが出来ます。「]」キーを押すと、記録を始めます。「:」キーを押すと、記録や再生を中止します。「;」キーを押すと、記録した動作状況を再生します。これらの操作は、メニューバーの「Log」からも行えます。

記録は、コンピュータのファイルとして保存することが出来ます。記録した後に、メニューバーの「Log」にある「Save Log」を選択し、名前をつけて保存しましょう。保存した記録は、メニューバーの「Log」にある「Load Log」を選択し、読み出したい記録を選びましょう。直後に再生を始めます。

視点の変更

視点の変更には、「F8」「F9」「F10」「F11」「F12」を用います。また、「Ctrl」を併用することで、合計10種類の視点に切り替えることが出来ます。この操作は、メニューバーの「Setting」からも行えます。

「I」キーを押すと、画面がズームインします(望遠になります)。「O」キーを押すと、画面がズームアウトします(広角になります)。

View A (「F8」キー)
斜め上からChipsを中心に捉え、Chipsと同じ方角をゆっくり向くように動きます。左右を見渡す方向以外の回転はしません。画面の急激な変化が無く、Chipsの動きがよく判る安定した視点です。『RigidChips』起動後には、この視点が設定されています。
View B (「F9」キー)
特定の場所に視点を固定して、Chipsを中心に捉えます。Chipsが遠方へ行くと、視点の場所がChipsの前方へ切り替わります。
View C (「F10」キー)
Coreチップの後部(南側)から、Coreチップ上面が見えるように捉えます。左右を見渡す方向と、見上げ見下ろし方向の回転をします。
View D (「F11」キー)
Chipsを中心に後部から捉えます。ただし、首をかしげる方向には回転しません。
View E (「F12」キー)
上空からChipsを中心に捉えます。常に画面の上方向が北になります。
View F (「Ctrl」+「F8」キー)
「View A」と同様ですが、最後に切り離されたチップがある場合は、それを捉えます。
View G (「Ctrl」+「F9」キー)
「View B」と同様ですが、最後に切り離されたチップがある場合は、それを捉えます。
View H (「Ctrl」+「F10」キー)
Coreチップからの視点です。ドライバーズ・ビューのようになります。
View I (「Ctrl」+「F11」キー)
Chipsを真後ろから捉えます。Chipsと常に水平です。
View J (「Ctrl」+「F12」キー)
Coreチップを真後ろから捉えます。Coreチップと常に水平です。

表示の変更

画面上に表示されているメーターなどの表示、非表示を選択できます。

「Show External Forcer」を有効にすると、Chipsにどのような力が掛かっているのか解りやすく表示します。

設定の変更

設定の変更を行うには、「F2」「F3」「F4」「F5」「F6」「F7」を用います。この操作は、メニューバーの「Setting」からも行えます。

Config Display (画面の設定)

画面表示に関する設定画面を開きます。「Rendering Device」では実際の描画に使用するシステム、「Rendering Mode」では『RigidChips』の表示をウィンドウか全画面か選択できます。「F2」キーでも画面を開けます。

Configure Input (入力の設定)

キーボードやマウスからの入力に対し、『RigidChips』がどのような動作を行うのか設定できます。いわゆるキーアサインです。通常、変更する必要はありません。「F3」キーでも画面を開けます。

Show Shadow (影の表示)

Chipsの影を表示するか選択できます。コンピュータの処理能力が低くて『RigidChips』の描画速度が遅い場合に、無効にすると良いでしょう。ただし、あまり効果はありませんし、接地しているか浮いているか、見た目では判り難くなります。「F4」キーでもON/OFFできます。

Show Dust (粉塵の表示)

Chipsの動作によって生じる粉塵、例えばWheelの巻き上げる砂や水しぶきを表示するか選択できます。コンピュータの処理能力が低くて『RigidChips』の描画速度が遅い場合に、無効にすると良いでしょう。描画速度が多少改善される可能性があります。「F5」キーでもON/OFFできます。

Dithering (ディザリング)

モニターの色数が少ないとき、例えば16ビット表示のとき、色の付き方が階段状になるのを抑制します。「F6」キーでもON/OFFできます。

Limit 30FPS (30FPSまでに制限)

画面の描画速度(Frame Par Second)を、秒間30回(30FPS)までに制限します。「F7」キーでもON/OFFできます。

ゲームパッドを使う

『RigidChips』はゲームパッド(ゲーム用コントローラ)に対応しています。「Xbox360」や「プレイステーション」のコントローラを接続すれば、Chipsの操縦がしやすくなるだけでなく、アナログスティックを利用したChipsも動かせるようになります。なお「プレイステーション」のコントローラを使用する場合は、市販のコンバータ(ELECOM製の「JC-PS101U」など)が必要です。

『RigidChips』上でゲームパッドを利用するには、「Configure Input」にて、キー番号とゲームパッドのキーとの対応を設定しておく必要があります。適切な設定は利用するChipsに依りますが、キー番号の4から9までは使えるようにしておくと良いでしょう。ちなみに、姿勢のリセット(Reset)やLandへの入りなおし(Init)、視点のズームイン・ズームアウトなどを割り当てておくと便利です。

Chipsをゲームパッドの方向キーやアナログスティックで操縦するためには、Chipsをゲームパッドに対応させる必要があります。参考までに『RigidChips』添付のChips「4wd.txt」をゲームパッドに対応させる簡易的な記述例を以下に示します。アナログスティックの場合、操作していない状態でも小さい数値が入力され得ますので、以下の例では、小さい値では反応しないように記述してあります。

Script {
   if _HAT(0) == -9000 { Handle = Handle + 0.5 }
   if _HAT(0) == -27000 { Handle = Handle - 0.5 }
   if _ANALOG(0) > 150 { Handle = Handle - _ANALOG(0)/1000 }
   if _ANALOG(0) < -150 { Handle = Handle - _ANALOG(0)/1000 }
}