この文書では、任天堂が発売した歴代の家庭用ゲーム機における、テレビ(モニタ)との接続方法を記す。説明書のない中古のゲーム機などを楽しむ際の参考にされたい。
なお本文ではゲーム機の名称が度々登場するため略称を用いる。略称は表「ゲーム機の略称」を参照。
略称 | ゲーム機の名称 |
---|---|
FC | ファミリーコンピュータ |
AVFC | AV仕様ファミリーコンピュータ(Newファミコン) |
SFC | スーパーファミコン |
SFC Jr. | スーパーファミコン ジュニア |
N64 | ニンテンドウ64 |
GC | ニンテンドーゲームキューブ |
NS | ニンテンドースイッチ |
「○」は利用可能、「×」は利用不能、「△」は条件付きで利用可能を表す。
ケーブルの種類(型番) | テレビ側の端子 | ゲーム機側のケーブル対応 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FC | AVFC | SFC | SFC Jr. | N64 | GC | Wii | Wii U | NS | ||
RFスイッチ(HVC-003) | VHF | ○ | △1 | ○ | △2 | △2 | × | × | × | × |
RFスイッチUV(NUS-009) | ||||||||||
モノラルAVケーブル(SHVC-007) | RCA※1 | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | × |
ステレオAVケーブル(SHVC-008) | RCA※2 | × | ○1 | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | × |
S端子ケーブル(SHVC-009) | S端子※3 | × | × | ○ | × | ○ | ○ | × | × | × |
RGBケーブル(SHVC-101) | RGB21ピン | × | × | ○ | × | × | × | × | × | × |
コンポーネントビデオケーブル(DOL-010) | コンポーネント | × | × | × | × | × | △3 | × | × | × |
D端子ビデオケーブル(DOL-009) | D端子 | × | × | × | × | × | △3 | × | × | × |
Wii専用AVケーブル(RVL-009) | RCA※2 | × | × | × | × | × | × | ○ | ○ | × |
Wii専用S端子ケーブル(RVL-010) | S端子※3 | × | × | × | × | × | × | ○ | ○ | × |
Wii専用コンポーネントAVケーブル(RVL-011) | コンポーネント | × | × | × | × | × | × | ○ | ○ | × |
Wii専用D端子AVケーブル(RVL-012) | D端子 | × | × | × | × | × | × | ○ | ○ | × |
HDMIケーブル(WUP-008,汎用品) | HDMI | × | × | × | × | × | × | × | ○ | ○ |
FC、SFCに標準装備。RF端子を備えないAVFC、SFC Jr.、N64は別売のRFモジュレータで対応。RFモジュレータは、AVFC用(HVC-103)、N64用(NUS-003)で異なる。N64用はSFC Jr.でも使える。RF出力端子を使うには、アンテナとテレビの間にRFスイッチを経由させるため、アンテナ線を繋ぎ直す作業が必要となる。
1980年代後半まではビデオ端子が無いテレビが多かったため、テレビを使う機器は当時のテレビ放送と同じ信号(NTSC方式)を出力し、テレビ放送の空きチャンネルに映す方法を採っていた。テレビ放送は地域で空きチャンネルが違うため、ゲーム機の映像を映すチャンネルを1chと2chから選ぶスイッチがゲーム機やRFモジュレータに付いている。
RF出力はアナログテレビ放送の信号に準ずるため、2008年以降に発売されデジタル放送のみに対応するテレビでは使えない。そのためRF接続しかできないFCやそれ以前の任天堂ゲーム機を現在のテレビに映すのは簡単ではない。
対応ハードも対応テレビも生産終了から年数が経っており、いまや他メーカーの互換品でさえ入手は困難である。
なおFC以前に任天堂から発売されていたテレビゲーム機(「カラーテレビゲーム15」や「ブロック崩し」など)の場合、RF端子のケーブルがゲーム機本体から出ている。本体付属のRFスイッチはテレビ側がフィーダ線なので、F型変換プラグを用いればテレビのF型アンテナ端子に接続できる。もし本体付属のRFスイッチが無ければ、FC以降に発売されたRFスイッチを流用できる。この場合は、ゲーム機本体とRFスイッチの双方からケーブルが生えている状態になるため、RCA中継プラグ(RCAメス同士を備えたコネクタ)を使って接続すればよい。
1990年代に発売されたAVFC、SFC、SFC Jr.、N64、そしてGCまで共通して備えられている任天堂ゲーム機専用の端子。当時はRF端子と区別して単純に「(任天堂の)AV端子」と呼ばれていたが、Wii以降ではこの端子は廃止され「AVマルチ出力端子」が新たに備えられたため、呼称と区別に注意が必要。この端子のケーブルは、発売時期によって箱のデザインや記載の対応ゲーム機名が異なるものの、型番が同じなら共通して使える。
対応ハードの発売から十数年が経ち、純正品はほとんど中古でしか入手できない。下記は他メーカーの互換品。
初期型のGC(DOL-001)にのみ備えられた端子。名称にデジタルとついているが、使えるケーブルの接続先はアナログ信号であるコンポーネント端子とD端子だけである。これはGCからの出力こそデジタル信号だが、ケーブルのプラグ内部の変換回路によりアナログ信号に変換されているため。対応ケーブルの任天堂希望小売価格は3,500円だが、現在では入手困難のため高価で売られている。
Wii、Wii Uに搭載されており、アナログ系の接続をまとめて担う。
純正品は徐々に入手しづらくなっている。下記は他メーカーの互換品。
一般的なHDMI出力端子がWii U、ニンテンドースイッチに搭載されている。市販のハイスピードHDMIケーブルも使えるが、任天堂の型番が振られたHDMIケーブルがゲーム機本体に同梱されている。なお任天堂の純正HDMIケーブルは「ハイスピードHDMIケーブル | 任天堂パーツ販売」または「HDMIケーブル | 任天堂オンライン販売」で購入できる。
VHFアンテナ端子にRFスイッチを接続して、アナログテレビの1chまたは2chにゲームを映す。2008年以降に発売されたテレビは、2011年のアナログ放送終了に先駆けてVHFチューナーが廃止されているため、RFスイッチを使ってもゲームの映像は映らない(端子の名称も「VHF/UHF」ではなく「地上デジタル」等になっている)。
RFスイッチしか接続方法がない任天堂ゲーム機を、現在発売されているテレビに映す方法のひとつに、アナログ放送に対応した古いビデオデッキを使う方法がある。RFスイッチをビデオデッキのアンテナ入力に繋ぎ、ビデオデッキで1chまたは2chを選び、ビデオデッキからテレビにRCA端子(コンポジット映像と音声)で出力する方法である。
なおVHFチューナーを搭載した古いテレビ(ブラウン管または2011年以前の液晶テレビ)を用意できれば、RF接続のゲーム機を遊ぶという点では最も簡単である。しかし古いテレビは経年劣化の故障で画面が映らなくなりやすい。
いわゆるビデオ端子。コンポジット映像の黄色プラグ、ステレオ音声の赤色、白色プラグ。モノラル音声の場合は赤色プラグがなく、また白色の代わりに黒色の場合もある。なお、モノラル音声のテレビには、必ずモノラル音声ケーブルを使うこと。ステレオ音声ケーブルの赤色を接続しない場合、音声が正しく出ない可能性があるので注意が必要。
2011年以降に発売されたテレビでは、著作権保護との関係でアナログ端子を廃止し始めたが、このビデオ端子だけは引き続き搭載されていることが多い。日本ではゲーム機もテレビもNTSC規格のため、プラグの形状は同じでも規格が異なる外国向けの機器を繋ぐと正常に映らない。
RCA端子にしか繋げない任天堂ゲーム機をHDMI端子しかないテレビに繋ぐには、RCA入力端子を備えたHDMI出力対応のBDレコーダーや変換機器を利用するとよい。
現在販売されている一般的な地デジ対応テレビでは、RCA端子から入力した映像が左右に引き延ばされたり拡大されたりして表示されることが多い。これではアナログテレビ時代のゲーム機を正常に楽しめない。画面比率が4:3(ワイド画面では左右に黒い背景がつく)になるよう、テレビの機能を使って調整する必要がある。テレビのリモコンやサブメニューで「ワイド画面切り替え」や「画面モード切り替え」の機能が用意されているので、「ノーマル」を選ぼう。
アナログ信号だが、コンポジット映像(黄プラグ)と比べて色のにじみがなく高画質。SFC以降をコンポジット映像よりも高画質で楽しめる。S1、S2映像端子などと記載されている場合もある。S端子は映像だけを伝送するので、音声はRCA端子(白、赤プラグ)を用いる。2011年以降に発売されたテレビには搭載されていない。
アナログ映像と音声を送る。S端子よりも高画質。大きい横長の端子。'00年代以降この端子を搭載するテレビは発売されていない。任天堂のゲーム機ではスーパーファミコンのみ対応。
アナログ映像信号。端子は同じだがD1からD5まで5つの規格が存在する。音声はRCA端子(白、赤プラグ)を用いる。2011年以降は、AACS(著作権保護)との関係でブルーレイビデオ対応ゲーム機(PlayStation 3など)のD端子から高画質での出力が制限されるようになった。なお名称の「D」は端子の形に由来しており、デジタル(Digital)の略ではない。任天堂のゲーム機ではGCからWii Uまでが対応しているが、2011年以降のテレビからは徐々に姿を消し始めている。
アナログ映像信号。プラグの色は赤、緑、青。任天堂のゲーム機ではGC以降が対応しているが、2011年以降のテレビからは姿を消し始めている。音声はRCA端子(白、赤プラグ)を用いる。コンポジットと名前が多少紛らわしいので注意。
現在の標準的なビデオ端子。高画質のデジタルハイビジョン映像と音声をケーブル1本で伝送する。任天堂のゲーム機ではWii Uとニンテンドースイッチが対応(Wiiは対応していない)。ニンテンドースイッチの場合はHDMI端子にしか対応しない。
任天堂ゲーム機を楽しむには、当然ながらテレビとの接続だけでなく、電源の接続も必要となる。以下に簡単だが各ゲーム機に必要な電源アダプターを示す。なお通販などで純正品を探すときは、日本の電源コンセントに適合する物か必ず確認すること。HVC-002は日本専用だが、それ以外は型番の末尾に(JPN)と記載があることで見分けがつく。
電源アダプターの種類(型番) | ゲーム機側の電源アダプター対応 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
FC | AVFC | SFC | SFC Jr. | N64 | GC | Wii | Wii U | NS | |
ファミコン・スーパーファミコン・バーチャルボーイ専用ACアダプタ(HVC-002) | ○ | ○ | ○ | ○ | × | × | × | × | × |
NINTENDO64 ACアダプタ(NUS-002) | × | × | × | × | ○ | × | × | × | × |
ニンテンドーゲームキューブACアダプタ(DOL-002) | × | × | × | × | × | ○ | × | × | × |
Wii専用 ACアダプタ(RVL-002) | × | × | × | × | × | × | ○ | × | × |
Wii U本体ACアダプター(WUP-002) | × | × | × | × | × | × | × | ○ | × |
Nintendo Switch ACアダプター(HAC-002) | × | × | × | × | × | × | × | × | ○ |
FC~SFCの電源アダプタはゲーム機側の端子が汎用的なこともあり、互換品も手に入りやすい。できる限り純正品のHVC-002もしくは、FC/SFC対応を謳う互換品(DC10V・850mA出力、センターマイナスに対応したもの)を選ぶようにしたい。なお出力電圧を切り替えたりDCプラグを差し替えたりできるタイプの汎用ACアダプターを使う場合、電圧と極性に充分注意して扱わないと、ゲーム機を故障させるだけでなく大変危険である。特に、FC~SFCの電源は極性がセンターマイナス(内側がマイナス、外側がプラス)とやや珍しく、そのうえ汎用アダプタで10V出力が選べる物は少ない。
N64~Wii Uの電源アダプタは完全にそれぞれの専用品のため、中古の純正品を通販で入手するのは少々難しい。電源アダプタが不調だとゲーム機が正常に動作しなかったり故障の原因になったりするので、できれば中古ゲームショップなどで動作確認されたものを購入したい。
なおWii Uの場合は、本体用とは別にゲームパッドを充電するための「Wii U GamePad ACアダプター」(WUP-011)が必要となる。
Nintendo Switchの下部にありACアダプタやドックを接続できる端子は汎用的なUSB Type-C端子だが、USB PD(Power Deliveryに対応したUSB Type-C)との互換性は一切謳われていない。現状では純正品のACアダプターが購入しやすいので、敢えて互換品を選ぶ理由は無い。
2016年頃、N64のプレイ中に突然リセットが掛かるという事象に遭遇したことがある。そこで試しに、新品購入当時から使っていた20年モノの専用ACアダプタを新しいものに交換したら直ったことがある。電源はコンピューターを正常に動作させるための重要な部品だ。電源が入ればどうだっていいというものではない、と改めて思わされた事例である。
電源ランプがあるゲーム機の場合は、電源スイッチをONにしたときに電源ランプが赤く光るか確かめる。電源ランプだけが故障することは考えにくいので、光らない場合はうっかり電源をコンセントに挿し忘れているか、電源アダプタの接触不良または故障が考えられる。
テレビ側の入力モードを正しく切り替えてからゲーム機の電源を入れたときに、画面が一瞬光るといった変化すら見られない場合、テレビとの接続を正しく行えているか確かめる。テレビによっては外部入力モードに切り替えた上で、どの端子を使うのかさらに選択が必要な場合があるので、その点も確認する。テレビ側の正しい端子に正しい設定でつなげているのに改善しない場合は、ケーブルを少し揺らしたりテスターを使うなどして、映像音声ケーブルが断線していないか確認する。
画面などに一瞬の変化があるもののその後なにも映らない場合は、装着したカセットの接触不良、または故障が考えられる。この場合は他のカセットで起動するか確かめること。なお、カセットの端子に息を吹きかけると故障の原因になるので絶対にしてはならない。
ちなみに、何もカセットを挿さなくても起動する近年のゲーム機とは異なり、90年代までに発売されたカセット型のゲーム機は、任天堂のゲーム機に限らず何らかのカセットを挿した状態で電源を入れないと何も映らない。また、電源を切ってからカセットを抜かないと故障の原因になる。近年のゲーム機しか利用した経験がない場合には、注意を要する点である。
ニンテンドウ64は、黒い「ターミネータパック」、または上面の赤い「メモリー拡張パック(ハイレゾパック)」のどちらかが、本体上面のメモリー拡張端子(電源スイッチとリセットスイッチの間にある、フタのついた部分)に装着されていないと起動しない。フタを開けてみて、パックが装着されているか確かめること。現在では本体を中古で買う場合がほとんどだと考えられるので、可能であれば購入時に確認しておきたい点である。
ゲームソフトによっては「メモリー拡張パック(ハイレゾパック)」が無ければ遊べないものがある。逆に「メモリー拡張パック(ハイレゾパック)」を挿しておけば「ターミネータパック」は一切不要である。
AVFC、SFC、SFC Jr.、N64、GCの場合、まずはコントローラを差し直す。差し直すときに、一番左側の端子となる1プレイヤー端子に差しているか必ず確認すること。
Wii以降の場合、本体とリモコンが正しく同期(ワイヤレスでの接続)しているか確認する。
入力端子と直接関係する話ではないが、スーパーファミコンの「スーパースコープ」はテレビの走査線を読み取る仕様のため、ブラウン管(CRT)のテレビでしか遊べない。また、製品によっては細かな条件がテレビ側に求められる。これはプレイステーションのガンコン2など、テレビ画面の走査線で位置を検出する製品に共通である。
なおWiiリモコン、PS3のガンコン3などは、センサーバー(LEDマーカー)を用いる方式のため、テレビ画面の仕様は特に影響しない。またファミコンの光線銃シリーズは、画面に判定用の単純な画像を一瞬表示する方式なので、テレビ側に表示の遅延がなく明るさもあれば、比較的画面の種類には左右されにくい…はずである。
当ページで紹介しているケーブルや周辺機器の中古品は、2020年頃までは中古ゲーム販売店のほか、amazonなどのネット通販でも安く購入できた。しかし最近は古い中古品の在庫が目に見えて減ってきており、あっても当時の新品より高額になっている場合が散見される。例えば「ステレオAVケーブル(SHVC-008)」は、使えるジャンク品が300~500円程度で簡単に買えた。しかし今では目にする機会も減り、あっても千円近くまで値上がりしている。年を経て「ありふれた中古品」も「古すぎて珍しいもの」になり始めている。
当ページでamazonアソシエイトを掲示している手前言いにくいが、かつてこうした中古品を手に入れやすかったamazonも、中古品を扱うマーケットプレイスに中国系と思しい業者が多くなり、レビューを見ると手を出しにくい状況になっている。また、ゲームのカセット(カートリッジ)に至っては生産から20年を経ており、amazonに限らず店頭に並ぶ中古カセットは、セーブ用のバッテリーバックアップ電池が切れていてもおかしくない状況だ。
かつてはどこでも簡単に安く手に入っていた中古ゲームも、1996年に発売されたニンテンドウ64さえ「レトロゲーム」になった今、正常に動作する物が珍しくなり始めている。できればレトロゲームの知識が豊富で取り扱いに慣れた専門店を頼るほうが、結果的に安く労せず歴代の任天堂ゲームを楽しめるだろう。
ここで参考までに、歴代の任天堂ゲーム機を扱っているレトロゲーム専門店を挙げる。