Intel NUCを使った小型パソコンの組み立て方

この文書は、インテル社が製造販売しているパソコン組み立てキット「NUC」(ネクスト・ユニット・オブ・コンピューティング)を使った、実用的な小型デスクトップパソコン(ミニPC)の組み立て方を説明しています。

Intel NUCの用途と特徴

Intel NUCを使って組み立てたパソコンは、以下の用途に向く。

インテルNUCの際だった特長は、その小型さである。設置面積はCDケースよりも小さく、幅と奥行きがそれぞれ12センチに満たない。それでいて、意外と性能が要求される今どきのウェブ閲覧や、ある程度の画像処理などの作業にもストレスのない性能と静音性を実現できる。

ただしNUCには、国内メーカー製の市販パソコンと違ってOSやOfficeアプリといったソフトウェアのほか、キーボードやマウスなども付属しておらず、別途購入する必要がある。また部品を寄せ集めて作るので、パソコンの面倒をすべて見てくれるサポートは受けられない。購入を検討する際は、予算とサポートに注意してほしい。

組み立てに必要な経験

Intel NUCの組み立ては、いわゆる「自作パソコン」の組み立てよりも簡単ではあるが、プリンターのインクを交換するよりは難しい。以下の経験や知識があると組み立てやすく、何らかのトラブルにも対処しやすい。

NUCの選び方

Intel NUCは2012年に初代が発売されて以来、新たなCPUが開発される度に新しい製品が発売されている。NUCは新しい製品が発売されると、古い製品は品薄になり値段があまり下がらない。このため基本的には最新の製品を選べばよい。ここでは国内で買える2018年6月時点で最新の「第7世代」CPU搭載のNUC(通称「第7世代NUC」)のうち、主な製品を紹介する。その他の製品はIntelの「インテル® NUC」のページで確認してほしい。

以下に示す搭載CPUの箇所に「PassMark」として、PassMark Software社のサイトに掲載されている各CPUの「Average CPU Mark」(CPU平均評価値)を引用している。数値が大きいほど総合的な処理性能が高いことを示している。

NUCは世代により、付属品のほか、搭載できるメモリやSSD・HDDの形式が変わる場合があるため注意したい。

第7世代NUC共通の特徴

低価格モデル 「NUC7CJYH」「NUC7PJYH」

「NUC7CJYH」と「NUC7PJYH」は、低価格のCPUを搭載しており廉価である一方、側面に大きいサイズのSDXCカード差込口と、背面にS/PDIF(光オーディオ)対応3.5mmステレオミニ音声出力端子を搭載。2018年発売ということもありBluetoothはver.5に対応するなど、他の同世代NUCにはないアドバンテージがある。

「NUC7CJYH」はCPUがCeleronで、第7世代NUCのうち最も低価格な製品。CPUの性能も価格相応だが、4K対応のHDMI出力が2端子あるため、作業用よりもサイネージ(広告)表示に向いている。

「NUC7PJYH」はCPUがPentium Silverで、事務用PCとしての充分な性能があり、Web閲覧も快適だろう。家庭用のNUCとしてもお薦めだ。

発売日2018年5月
搭載CPUNUC7CJYH: Celeron J4005 (PassMark: 1566)
NUC7PJYH: Pentium Silver J5005 (PassMark: 2987)
対応メモリDDR4-2400 1.2V SO-DIMM (最大8GB)
対応ストレージ2.5インチSATA3 (SSDまたはHDD)
映像出力端子HDMI 2.0a (2端子)
音声出力端子マイク入力対応3.5mmステレオミニ (前面)
S/PDIF対応3.5mmステレオミニ (背面)
USB端子USB3.0 (前面2端子(1端子は充電対応), 背面2端子)
公式ページNUC7CJYH: インテル® NUC キット NUC7CJYH
NUC7PJYH: インテル® NUC キット NUC7PJYH

Core i搭載モデル「NUC7i3BNH」「NUC7i5BNH」「NUC7i7BNH」

費用よりも性能を優先したいならばCore i搭載モデルがおすすめだ。Core iシリーズのCPUを搭載したNUCは、Core i3搭載の「NUC7i3BNH」、i5搭載の「NUC7i5BNH」、i7搭載の「NUC7i7BNH」が用意されている。CPU以外のスペックは共通だ。低価格モデルと異なり、メモリーは32ギガバイトまで搭載可能。また、M.2スロットを搭載しておりM.2 SSDを接続できため、2.5インチベイと合わせて2台のストレージを内蔵できる。Core iシリーズのNUCは、2.5インチベイが無い薄型の「NUC7i3BNK」「NUC7i5BNK」「NUC7i7BNK」もある。

Core i5モデル以上ならば画像編集なども快適にこなせる。Core i7モデルは性能も頼もしいが放熱には注意したい。

発売日2017年4月~5月
搭載CPUNUC7i3BNH: Core i3 7100U (PassMark: 3830)
NUC7i5BNH: Core i5 7300U (PassMark: 5125)
NUC7i7BNH: Core i7 7567U (PassMark: 6532)
対応メモリDDR4-2133 1.2V SO-DIMM (最大32GB)
対応ストレージM.2 22x42/80 SSD
2.5インチSATA3 (SSDまたはHDD)
映像出力端子HDMI 2.0a, USB Type-C
音声出力端子マイク入力対応3.5mmステレオミニ (前面)
USB端子USB3.0 (前面2端子(1端子は充電対応), 背面2端子)
公式ページNUC7i3BNH: インテル® NUC キット NUC7i3BNH
NUC7i5BNH: インテル® NUC キット NUC7i5BNH
NUC7i7BNH: インテル® NUC キット NUC7i7BNH

部品選び

実はパソコンを組み立てる上で一番大事なのが部品選びである。選んだNUCによって、対応するメモリとSSDが異なるので注意してほしい。

メモリ

第7世代NUCに対応するメモリは、DDR4 S.O.DIMM(ノートPC用のDDR4メモリ)である。誤ってDDR3やDIMM(デスクトップPC用メモリ)を買わないよう注意すること。

用途にもよるが容量は合計8ギガバイトで充分だろう。Core i搭載NUCで画像や動画を編集したい場合は16ギガバイトを推奨する。処理能力の向上に作用するデュアルチャネルを活かためにも、必ず2枚組を購入する。

メモリ選びでは最低限、規格と容量に注意すればよい。メーカーやブランドにこだわることもできるが、よほど悪評のある製品でなければ問題はないだろう。第7世代NUCに使えるメモリを価格.comでリストアップしたので参考にして欲しい。

SSDまたはHDD

OSのインストールに必要な内蔵ストレージとなるSSDは、NUC7CJYHとNUC7PJYHは「SATA3 (2.5インチ ドライブ)」の製品を選ぶ。NUC7i3BNH、NUC7i5BNH、NUC7i7BNHの場合には「M.2」規格と「SATA3 (2.5インチ ドライブ)」規格どちらの製品を使ってもよい。これらのNUCで使えるM.2のSSDは、幅22ミリ×長さ42ミリの「2242」か、同じ幅で長さ80ミリの「2280」。なお初期のNUCが対応していた「mSATA」には対応しないので注意。

2.5インチベイのあるNUCには、速度より容量を重視して、SSDではなく2.5インチHDDを使ってもよいが、対応する厚さは9.5ミリまで。M.2と併用できるNUCでは、M.2にSSD、2.5インチベイに大容量HDDという構成もよいだろう。

容量は、OSやアプリのほか、データ保存を考えると最低でも128ギガバイトは必要となるだろう。2018年6月現時点で値頃なのは256ギガから512ギガバイトの製品。現在使っている容量を考慮し、価格.comで製品を選ぶとよい。

オペレーティングシステム(OS)

NUCにWindowsをインストールする場合、現状ではWindows 10を推奨する。それより古いOSではインストールに失敗したり一部のデバイスが認識されない場合がある。また現時点でサポート期間が2025年10月14日と最も長い。

パッケージ版のWindows 10は、インストール時に32bit版か64bit版を選べる。またメディアがUSB 3.0メモリなので、DVDドライブがなくてもインストールできる。HomeとProのどちらを選ぶかは用途と予算によるが、Windows Updateをある程度制御したいならProを推奨する。

なお、残念ながら現状のamazon.co.jpでは、レビューを見る限り正規版ではないものを買ってしまうおそれがあるようなので、心配ならばヨドバシビックカメラなど大手家電量販店やそのサイトで買うことも検討したい。

インターフェイス類

本体だけではパソコンとして使えないので、以下が必要になる。安価なものでも構わない。ディスプレイ (液晶モニタ) は安いもので1万円程度からある。他は数百円から。

USBキーボードとマウスは、USB端子に製品付属の受信機を接続するタイプのワイヤレス型でもよい。ただしBluetoothタイプはWindowsが起動するまで有効にならずBIOSに入れないため、NUCには向かない。

ディスプレイはHDMI端子を備えた液晶テレビで代用してもよい。また、スピーカーを内蔵しているディスプレイや液晶テレビとHDMIで接続するなら、スピーカーは不要。

USBメモリ

組み立てる際に何かと役立つ。

組み立て工具

組み立てに最低限必要な工具は、一般的な1番と2番のプラスドライバー (ねじ回し) だけである。標準的な大きさの2番はNUCのケース裏、それより小さい1番はM.2 SSDの固定に使用する。

静電気や手油でパーツが故障することを避けるため、静電気防止手袋の利用を推奨する (気休めかもしれないが)。

ドライバソフトのダウンロード

NUCは、Windowsをインストールしただけの状態ではドライバソフトが足りず、ネットワーク(インターネット)に繋げない場合がある。既存のパソコンを使ったりパソコンを借りたりなどして、あらかじめインテルのサイトからドライバソフトをダウンロードしておくこと。ダウンロードしたら別途USBメモリなどに保存しておき、Windowsのインストール後に利用する。

ドライバは、Intelの公式サイトからダウンロードできる。

組み立て

NUCへのSSDとメモリの装着方法は、アスキーが公開している動画が参考になる。動画は第6世代NUCのものだが、第7世代でも変わらない。

メモリは、基板に近い端子へ先に装着する。また端子への装着は、メモリを斜め (端子の逆側が起きた状態) に差し込み、端子がほとんど隠れるまで入れてから倒す。メモリの左右にある金属のロックがカチリと填まるまで倒れたか確認すること。

NUC本体の組み立てが終わったら、キーボードやマウス、ディスプレイ、電源を繋ぐとハードの準備は完了する。

BIOSの設定と動作チェック

BIOSの設定を確認する

NUCのBIOSが初期出荷状態でおかしな設定になっていることはまず無いはずだが、念のため各種設定を確認しておくとよい。NUCの電源を入れて、Intel NUCのロゴが表示されている間にキーボードのF2キーを押すと、BIOS画面を開ける。

メモリをチェックする

装着するメモリが万が一故障していると、OSが止まったりデータを破損するおそれがある。Windows 10をインストールした後に標準搭載の「Windows メモリ診断」を使ってもよいが、OSをインストールする前に本格的なメモリチェックをしたいならば「Memtest86+」を利用するとよい。Memtest86+のダウンロードおよび解説サイトは以下を参照。

Memtest86+は特に停止の操作をしなければ何回でもメモリのチェックを行ってくれる。これは動作温度などが上がった場合の耐久テストに使えるのだが、メモリをチェックするだけならば、1回終わった段階でエラーがないことを確認できれば中断してよい。

Windows 10のインストール

余計な外部ドライブを接続せずに、Windows 10のインストールUSBを挿した状態で再起動することで、Windowsのインストーラーが起動する。Windows 10のインストールは、パッケージ版のUSB3.0メモリであれば15分程度で終わるだろう。

基本的には画面の操作に従えばよいのだが、どのような画面が表示されるのかは、以下サイトの「クリーンインストールの手順」の項目も参考にするとよい。

  1. 「Windows Boot Manager」と書かれた黒い画面では、インストールするOSのビット別バージョンを選べる。特に理由がなければ「Windows 10 Setup (64-bit)」(64ビット版)を選ぶこと。
  2. 「Windows のライセンス認証」画面が表示されたら、プロダクトキーを入力する。プロダクトキーはパッケージの右側に入っているカードの裏側に記載されている。
  3. 「ライセンス条項」の画面が表示されたら、「同意します」にチェックを入れて「次へ」ボタンを押す。
  4. 「インストールの種類を選んでください」の画面が表示されたら、下側の「カスタム:Windows のみをインストールする」を押す。
  5. 「Windows のインストール場所を選んでください」の画面が表示されたら、種類の欄が「プライマリ」になっているドライブを選んでから、下部の「フォーマット」を押す。それが済んだら「次へ」ボタンを押す。
  6. インストールが始まるので、しばらく待つ。USB3.0メモリからM.2 SSDへのインストールなら10分もかからないだろう。Windows 10のデスクトップ画面が表示されたら、インストール完了。

ドライバのインストール

予めダウンロードしてUSBメモリに保存しておいたドライバーソフトを一旦Windows 10のデスクトップにコピーする。コピーしたら、ドライバーソフトのインストーラー (拡張子が.exeの実行ファイル) を起動して、各種ドライバをインストールする。それが終われば、パソコンとして使う準備は完了する。