64DDソフトは、全部で10タイトル。ランドネットから配布された8タイトルと、ランドネットの通信販売サービスにて販売された2タイトルだ。全10タイトルのうち、ゲームソフトと創作用ソフトが各3タイトル、通信用ソフトと拡張用ソフトが各2タイトルである。
島に現れた黄色い巨人「ドシン」が島民から愛と憎しみを得て巨大化する、製作者である飯田和敏氏の芸術性が溢れるゲームソフト。プレイステーションの『アクアノートの休日』『太陽のしっぽ』に続く、3部作の最終作とされる。64DD一式と共に配布されたが、ランドネットの通信販売で追加購入もできた。
プレイヤーは「ドシン」を操作し、島民から愛か憎しみのどちらかを得て巨大化させることができる。巨大化すれば移動速度が速くなる一方、島民を建造物を踏み潰す危険が増す。島民を手伝って仲良く行動するか、島民を踏み潰し土地を荒らして悪に浸るか、はたまた何もせず眠るか、すべてはプレイヤーの自由だ。島民による「ドルメン」と呼ばれる建造物の建設を手助けし、すべての「ドルメン」を建てさせるのが目的といえば目的。
64DDディスクの特徴を活かし、広大な土地の状態は余すことなく保存され、64DD内蔵の時計機能により、電源を切っている間にも島には時間が流れる。また、語り部のようなナレーション(声:相馬剛三)や、ドシンの行動に応じて発言されるコメント(声:緒川たまき)、そして南国風味のBGMなど、音声にも趣向が凝らされている。
このソフトはランドネットによって全面的に盛り上げられ、関連するコンテンツの提供やイベントなどが行われた。2002年3月14日にニンテンドーゲームキューブ用ソフト『巨人のドシン』としてリメイク版が発売されたが、あくまで一般的なゲームソフトとしての扱いで、64DD版のような盛り上がりは無かった。ちなみに開発元の「パーラム」は2003年9月に「バウロズ」へ社名が変わった。
多彩なペンを使って絵を描ける、お絵描きソフト。任天堂キャラクターのスタンプや写真画像などが大量に収録されており、それらを使えば簡単にコラージュなども作成できる。「NINTENDO64マウス」が同梱されている。64DD一式と共に配布されたが、ランドネットの通信販売で追加購入も出来た。ただしマウス無しのものや、マウス単体の販売は無かった。
鉛筆や水彩ブラシなどのツールを使って、気の向くままに絵を描ける。編集用のカンバス(お絵描きできる画面領域)が用意されており、切り貼りなどの作業がしやすい。コントローラを4つ接続すれば「絵チャット」のように4人が同時に同じカンバスでお絵描きできる。64DDディスクによる大容量の記録容量が存分に生かされており、何十作品、場合によっては何百作品も保存しておける。
最大35コマのパラパラマンガ(アニメーション)を作成できるモードが用意されており、描いているコマに1つ前のコマを半透明で表示する機能や、再生時にコマをゆっくり切り替えて表示する機能がある。そのほか立体的な世界で動いている生物や土地の模様を描きかえて遊ぶモードや、保存した作品をスライドショーとして表示するモードもある。
開発当初に「マリオペイント64」と呼ばれていた通り、スーパーファミコン用ソフト『マリオペイント』の進化版と捉えられる。ただし『マリオペイント』では絵とアニメ、そして音楽を自作して総合的な作品が作れたのに対し、『ペイントスタジオ』は絵を描く機能だけとなっている。「マリオアーティスト」シリーズのひとつであり、ディスクの入れ替えにより他のディスクと作品データをやりとりできる。
「NINTENDO64 モデム」を併用し、ランドネットに接続するためのソフト。簡易なウェブブラウザとメールソフトを備えており、ランドネットを介してウェブやメールを利用できる。ディスク1枚で5人分のアカウントを扱える。ランドネットを利用するために不可欠なソフトである。ランドネットから配布された。
ウェブブラウザの性能は乏しく、動画や音声は再生できず、JavaScriptにも対応していない。画面は高精細だが、その反面小さな画像などは見辛い。文字は大きさの固定された丸ゴシック体しかなく、斜体や太字などは無い。ただしコントローラによる文字入力は洗練されており、初めは戸惑うものの慣れれば画面の文字盤をほとんど見ずに素早く文字を打てる。
メールソフトは、メールのファイル添付に対応しておらず、送受信できる文字数も1件あたり全角2500文字と少ない。ただしランドネットのコンテンツサービス「スタキャラ」で獲得したキャラクターを保存でき、「ランドネットディスク」同士でメールを送受信する場合に限り、キャラクターをメールに添付、あるいはメールから取得できる。なお1アカウントあたり、受信メールは45通、送信メールは送信済みを含めて30通しか保存できない。
当初は「ランドネットスタータキット」に含まれる形で1999年12月から配布される予定であったが、不具合を原因として配布が延期された。雑誌の業界裏話コラムに載っていた情報によると、実際の理由は不具合ではなく完成度が低すぎたためらしく、スタータキットの配布が1999年12月1日から11日に延びた原因もそのせいらしい。「NINTENDO64 キーボード」の発売後、キーボードからの入力を一部正しく認識しない不具合が発覚し、希望者に修正版が配布された。
パソコン版をはじめ、様々な機種で発売されている都市育成シミュレーションゲーム「シムシティ」シリーズの64DDオリジナル版。「シムシティ2000」と似たシステムであるが地下や水道の概念が無かったり、助言役に「Dr.ライト」が登場したりと、任天堂のスーパーファミコン版『シムシティー』を彷彿とさせる構成。ランドネットから配布されたが、ランドネットの通信販売で追加購入もできた。
初心者向けのモードとして「ビギナーズモード」が用意されているが、攻略は案外難しい。「シムシティ」シリーズに慣れている人でも少し悩むかもしれない。各段階の目標を達成すると、選択した都市育成の方針によって様々な「ボーナスビル」が追加される。この「ボーナスビル」は64DD版独自の建物または要素となっており、建てた後でBGMの試聴やカジノゲームなどを楽しめるものもある。
収録されているBGMはすべて他の「シムシティ」シリーズでは聴けない独自のものだ。また、視点の角度を自由に回転できたり、街の中に入って住民の話を聞けるなど、「シムシティ」シリーズでは現在のところ唯一である立体演算された画面描画が活かされている。惜しむらくは「シムシティ2000」とほとんど似ているシステムでありながら地下の概念が無いため、地下鉄や水道管を敷設する要素が無いことだ。
ディスクを交換できる特長を活かし『マリオアーティスト ペイントスタジオ』で作成した2コマアニメを取り込み、その絵を住民として登場させることが出来る。フリーモードやシナリオモードなどの種類を問わず合計64もの街を保存(セーブ)しておけるのも、大容量の記録領域を持つ64DDディスクならではの特長だ。
着せ替え人形のようにキャラクターを作り、ショートムービーも作れる、遊びと創作を両立したソフト。お任せ設定機能の「らくちんスイッチ」や、全体に漂うギャグ風味が、創作への抵抗感を柔らげている。「キャプチャーカセット」と「マイク」を同梱。ランドネットから配布された。ランドネットの通信販売でも買えたが、機器同梱版のみでソフト単体の販売は無かった。
このソフトではキャラクターを「タレント」と呼ぶ。タレントの作成は、頭部や顔、服ごとに細かく用意された素材を選ぶだけで可能だが、ユーザーが福笑いのように顔を作ったり、服の模様を描いたりもできる。同梱の「キャプチャーカセット」や別売の「ゲームボーイ ポケットカメラ」を使えば、取り込んだ画像をタレントの顔などに設定できる。
ショートムービーの作成は、再生時間や画面の構成などに制約はあるものの、タレントの動きやカメラワーク、テロップやBGMなどを細かく設定できる。また「マリオアーティスト」シリーズのソフトから作品を読み込んで背景画や立体物として使える。ギャグ風味の強い本作ではシリアスな作品を作りにくいが、それでも多種多様な作品が作られ、ランドネットの「ネットスタジオ」を賑わせた。なお当時の任天堂社長である山内溥氏の音声を使ったコミカルな演説が、ムービー作品として予め保存されている。
ちなみにこのソフトは、タレントやショートムービーの作りやすさを高度な技術が支えている。例えば顔写真を1枚取りこむだけで、その画像を自動的に伸縮させてタレントがまばたきをしたり表情を変えたりする。またショートムービーでタレントの芝居を設定するとき、例えば手の位置を変更するだけで肘の角度や位置が連動する、インバース・キネマティクスが採用されている。
後継作がゲームキューブ向けに『ステージ・デビュー』や『マネビト』として企画されたが未発売に終わった。家庭用ゲーム機向けのソフトとしては、様々な素材や設定は豊かな表現を可能にするが複雑になりすぎ、また作品の活用も出力方法などに課題が残る。その考慮は、表現できる作風を誰もが馴染めるひとつに絞り、様々なソフトに活かせるようハードに組み込むことで、Wiiの「似顔絵チャンネル」として実を結んだ。
NINTENDO64用のレースゲーム『F-ZERO X』用の拡張ソフト。『F-ZERO X』の開発者が使用したのと同等と謳われるコース作成機能のほか、マシンの作成機能や特別な性能を持つマシンが追加される。その他、大容量の64DDディスクを活かした様々なオマケがある。ランドネットから配布されたが、ランドネットの通信販売で追加購入もできた。
コース作成機能では、針金の輪を曲げるようにしてコースを作っていく。バンクの調整やピット(回復エリア)の配置なども自由だ。マウスは使えず、コントローラで操作する必要があるが、比較的簡単な方法で自由にコースを設計できる。路面や壁などの模様は、空の色などと一体になったセットから選べる。100コースまで保存可能。
マシン作成機能では、用意されたパーツを組み合わせたり色を変えたりして、オリジナルのマシンを作れる。作成機能以外に追加される要素としては、レース中のBGMがステレオ再生となり、一部コースではカセットと異なるBGMが流れるようになる。また、カセットでは1つしか保存出来なかった「ゴースト」(コースを走行した軌跡の記録)が、各コースにつき3つまで保存できるようになる。
レースゲームのコースを作るという作成系のソフトではあるが、「マリオアーティスト」シリーズほどの創作性を必要としないため、『F-ZERO X』を楽しむ多くの人に受け入れられた。ランドネットが終了した今では関係の無い話だが、ランドネットを使ってコースをやり取りする機能は無い。
「NINTENDO64 モデム」を併用し、「マリオアーティスト」シリーズで制作した作品をランドネットのサービス「ネットスタジオ」を介して送受信するためのソフト。ランドネットの終了した現在では、作品の保管庫として役立つ。「キャプチャーカセット」を使った遊びや、「マリオアーティスト」シリーズで使える素材も収録されている。ランドネットから配布されたが、ランドネットの通信販売で追加購入もできた。
通信に関するモードは、「ネットスタジオ」のサービスに合わせて用意されている。ランドネットの審査(チェック)を経由して作品を公開または取得できる「ネットギャラリー」、審査を経ずに直接他の会員と作品をやり取りする「交換ボックス」、作品をランドネット主催のコンテストに応募する「イベント」、印刷サービスに送信する「プリントサービス」などだ。ランドネットが終了した現在では、事実上機能しない。
「キャプチャーカセット」を使用する機能があり、取り込んだ映像が随時加工される様子を楽しめる他、その画を保存できる。保存した画は「マリオアーティスト」シリーズのソフトから読み込んで使える。「オマケ」として作品の素材が収録されており、「マリオアーティスト」シリーズから読み込んで利用できる。
作品を直接他の会員とやりとりするモードでは、作品の受信に必要なパスワードなどを『ランドネットディスク』を使ってメールで伝える必要があり、少々不便だった。また、作品は対応したソフトへ移さなければ閲覧できないので、作品のダウンロードには作者のコメントと荒くて小さい画像を頼りにするしかなく、閲覧自体が億劫さを伴うものであった。
ブロックを組み合わせたり加工したりしてポリゴン(コンピュータ上の立体)の作品を作れる、創作系ソフト。作品をミニゲームなどで動かして遊べるのが特徴的。豊富に用意されたブロック(立体)を組み合わせる以外に、自分でブロックを作ることも出来る。当初の配布予定は4月下旬であったが、8月に延期された。なお、ランドネットの通信販売では販売されなかった。
ブロックを自作するモードは、実質的にはポリゴンモデラーとなっており、基本的な立体図形を切ったり削ったり引き伸ばしたりして、好きな立体作品を作れる。ポリゴンモデラーとしては簡素な作りだが、比較的自由に造形できる。そのため、ランドネットの「ネットスタジオ」でやりとりされた作品には、このモードを主に活用して作品を作り、予め収録されているブロックを補助的に使用したものが多かった。
コントローラの3Dスティックを動かす加減によって崖のギリギリまでモデルを突進させる「ゴーゴーパーク」と、次々と現れては5秒と経たずに終わるゲームを軽快なリズムに乗って攻略する「サウンドボンバー」という、2つのミニゲームが用意されている。ちなみに開発者が「サウンドボンバー」を発展させて開発したのが、ゲームボーイアドバンス用ソフト『メイド イン ワリオ』である。
「ランドネット」が運営されていたときは、ペーパークラフト(紙工作)専用に作った作品を『マリオアーティスト コミュニケーションキット』を使って送信すれば、有料サービスでその作品のペーパークラフトが配送された。ちなみに、届いたペーパークラフトには組み立てに必要な「のりしろ」の欠けている場合が多かったらしい。
日本に実在する10コースで実在のツアープレイヤーと対戦する感覚を味わえる、リアル志向のゴルフゲーム。コントローラにある3Dスティックの弾き方でショットが変わるので、微妙な力加減による面白さを味わえる。日本ゴルフツアー機構および日本ツアープレーヤーズクラブ公認。ランドネットで通信販売された。
6つのモードが用意されており、1人から4人までで18ホールをまわり総合スコアを競う「ストロークプレー」、2人で対戦する「マッチプレー」、有名なツアープレイヤーに混じって国内の各大会に出場する「大会出場」、年間を通じてツアーに参戦して賞金王を目指す「賞金王」などがある。
プレイヤーキャラクターとして実在のツアープレイヤーを選べるが、オリジナルのプレイヤーを作成してスコアによって育てることもできる。育てて一定のレベルに達すると参加できる「Qトーナメント」に合格させれば、オリジナルのプレイヤーを「大会出場」や「賞金王」モードで使えるようになる。
ゴルフをまったく知らなくても、すぐにゴルフの楽しさがわかるように設計されている。専門用語は説明書で解説されているし、画面に表示されるアドバイスや力加減の目安表示に従って打てば、そこそこのスコアが出る。64DDのソフトにおいては最も目立たないタイトルであるが、ランドネットにて参加パスワードを使っての大会が行われた。
『巨人のドシン1』を使って、違った遊び方をするための「補助ディスク」(拡張ディスク)。そのため、このソフト単体では遊べない。自分の思い通りに遊べる『巨人のドシン1』に対して、ご褒美のために苦難を強いられるゲーム内容となっている。万国博覧会や学園紛争を彷彿とさせる設定、そして高飛車な妖しいお姉さんなど、全体として過激で不気味な雰囲気となっている。ランドネットで通信販売された。
1つめの目的は、『巨人のドシン1』内で1日中(実時間で30分)ジャンプし続けろといった無理難題をこなして、『巨人のドシン1』ファンのために制作された映画(動画)「巨人以上」を全17話すべて見ること。本作と『巨人のドシン1』のディスクを「ダシ・イレ」(入れ替え)し、本作で受けた命令に従って『巨人のドシン1』で行動を実践した後、命令を着実に実行したかが本作で判定される仕組み。
もうひとつの目的は、眠っている「チビッコ」の夢の世界「世界ドシン博覧会」の会場で、囚われの身となった巨人「ドシン」を解放すること。「ドシン」の解放や、解放を邪魔する敵への抵抗には「チッコ」を発射する。時間の経過と共に溜まっていく「チッコ」を浪費せずに溢れさせると、夢から覚めて振り出しに戻される。
取扱説明書に「『巨人のドシン1』を大好きな人々が、『巨人のドシン1』を大好きな人々のために制作した
」と記されていることからも判るように、このソフトは『巨人のドシン1』ファンへ向けた内容となっている。ランドネットによると生産本数は3000本とのことで、ランドネットの末期には売り切れとなり再販されなかった。そのため現在ではネットオークションなどにて高値で取引きされている。