NINTENDO64専用の磁気ディスクドライブ。専用の磁気ディスク「64DDディスク」の読み書きに対応している。NINTENDO64を上に重ねて、底面にある2本のネジを締めて固定する。この装着で、64DDの上部にある端子と、NINTENDO64の底面にある「50PIN拡張端子」が接続される。64DDへの電源は、この端子を通してNINTENDO64から供給される。
上面にある曲線の溝は、NINTENDO64のコントローラ(ゲームパッド)から延びているのと同じ太さのケーブルを通せる。これは、64DDの設計時に想定されていたモデムと、コントローラポート4とを接続したケーブルを通すために作られたようだが、結局使われることは無く、名称も不明である。
本体前面の中央には赤く光る「ACCESSランプ」があり、ディスクにアクセスすると点灯や点滅をする。ディスク挿入口には両端の上部にツメがあり、64DDディスクを正しく入れるときだけツメが押されてフタのロックが解除される。これは64DDの内部に異物を入れない役目を果たす。ディスク挿入口の右にあるEJECTボタンを押すと、64DDディスクが「ガシャッ」と出てくる。
64DDを取り付けた状態でカセットを挿さずにNINTENDO64の電源を入れると、64DDの起動画面が映る。真っ白な水面からNINTENDO64のロゴ「Nキューブ」が出現する映像である。64DDにディスクが入っていないときは、マリオとNキューブが戯れるデモ画面が引き続き映る。このデモ画面でコントローラのAボタンを押すと、64DDに内蔵されている時計を調整できる。
カセットを挿さずディスクだけを入れた場合は、起動の直後にディスクへのアクセスが始まり、起動時の効果音が鳴り終わらないうちに画面に「64DD」と映る。一方、カセットを挿してあると64DDの起動画面は表示されず、すぐにカセットが起動する。そのカセットが64DDに対応していれば、起動した後に対応のディスクが入っているかが判定される。カセットとディスクが対応していれば、ディスクが読み込まれる。
64DD本体には時計機能が内蔵されており、西暦1996年から2095年までの日付に対応している。この時計機能は64DDソフトで利用される。時計は数年ほど調整しなくてもほとんどズレない。ただし時計は64DDに内蔵されているリチウム電池で作動しているので、それが切れてしまうと時計機能が正常に使えなくなるだろう。
NINTENDO64に「メモリー拡張パック」を装着せずに起動すると、エラーが表示されて利用できない。おそらく、64DDディスクから読み込んだデータを一時的に溜め込むために拡張メモリーが必須なのだろう。参考だが、任天堂の「ファミリーコンピュータ」用の磁気ディスクドライブ「ディスクシステム」には、ディスクから読み込んだデータを一時的に溜めるメモリが搭載されている。
64DDの内部には、文字や効果音を収録した36メガビットのROMが内蔵されているようだ。64DD本体の時計を調整するに表示される文字は、そこに収録されている。なお推測だが「マリオアーティスト」シリーズ4本、『巨人のドシン1』、『F-ZERO X エクスパンションキット』などで表示される文字も同じ文字に見えるため、64DD内部からフォントを読み出している可能性がある。
ディスク挿入口の左には、NINTENDO64のロゴに「DISK」の加わったロゴが刻まれている。64DDに関連した製品には「DISK」の部分に「64DD」の加わったロゴが使われており、「DISK」とあるロゴは事実上64DD本体のこの刻印にだけ見られる。64DDの製造時と配布時でロゴの仕様が変更になったのだろうか。
1996年に開発が正式に発表されて以来「NINTENDO64 ディスクドライブ」(NINTENDO64 DISK DRIVE)という名称であったが、ランドネットによる配布が行われる頃には、略称の「64DD」が正式名称となった。その証拠に64DD底面のシールには「64DD™ ロクヨン ディーディー」と表記されている。ただし、64DD上面にある接続端子の手前に刻印されている注意書きには「CAUTION: REMOVE EXPANSION CONNECTOR COVER (EXT.) ON BOTTOM OF N64 CONTROL DECK BEFORE CONNECTING TO N64 DISK DRIVE.」「NINTENDO 64 底面のコネクタカバーを取り外して本機に接続してください。」とある。
64DDが「発売」される予定だった頃、NINTENDO64と共通した外観の外箱が既に完成していたようだ。しかし実際に出回ったかは未確認である。ただし「NINTENDO64 DISK DRIVE」「ニンテンドウ64 ディスクドライブ」の表記が「NINTENDO64専用ディスクドライブ 64DD」「ロクヨンディーディー」に改められた外箱ならば、流通経路などの詳細は不明だが2006年現在もネットオークションなどで散見される。ランドネットDDによってランドネット会員へ配布されたものは「NINTENDO64 モデム」「モジュラーケーブル」「ランドネットディスク」の3点が収まり「ランドネット スタータキット」と示された、嵩の高い外箱であった。おそらく64DDと「メモリー拡張パック」「ターミネータパック イジェクタ」を収めた発泡スチロール製の容器はそのままに、蓋となる外箱だけが次々と変更されたのだろう。
『The64DREAM』1998年4月号99ページには、1997年3月時点に撮影されたという、ディスクの挿入口が灰色の64DDを確認できる。またそれ以前から挿入口が黒色のものもあったということで、64DD本体が量産体制に入る前の試作品ではないかと推測できるが詳細は不明だ。
ゲームソフトの開発者がデバッグ(プログラムの動作確認)などの用途で使用するための64DD「NINTENDO64 DISK DRIVE FOR GAME DEVELOPMENT」が存在する。開発者用の64DDは、ディスク挿入口が青色で、開発用の青い64DDディスクを使用する。開発者は普通のNINTENDO64に、この64DDと特殊なカセットをセットして開発を進める。
64DDはアルプス電気株式会社によって10万台が製造されたようだが、実際にランドネットによって配布された数は1万5000台に満たない。残りについて定かな情報は無いが、修理用を残して破棄された可能性が高い。
64DDは磁気ディスクのドライブだが、読み取りヘッドのクリーナーなどは発売されていない。64DDに関する問合せを引受けていた運営当時(2000年10月5日)のランドネットにメールで問い合わせたときには「クリーナーにつきましては、現在発売の予定はありません。通常のご使用においては、お客様にメンテナンスして頂く必要のない仕様となっております。
」との返答がなされた。しかし2006年現在、当サイトの掲示板に寄せられたり他のサイトに掲載されたりした情報によれば、ディスクへのアクセスに問題が生じたことを示す「エラー23」が64DDの故障原因として目立つ。
64DD向けのソフトウェア供給媒体。独特な形状のケースに軟らかくて薄いディスクが収まっている。ディスクの両面には磁気でデータが記録される。約64メガバイトの容量があり、そのうち最大で約38メガバイトが書換え可能領域となる。書換え可能領域には、ゲームの得点や行動結果、利用者の作品などを保存できる。
フロッピーディスクと同じく記録面を露出させずに、そのまま64DDに差込む。両面にデータが記録されているが、64DDへ挿入する面方向は決まっていて、裏返して入れ直すことはない。汎用磁気ディスクである「ZIP」を応用した独自の記録形式らしいが定かではない。ディスクのシャッターは64DDの内部でツメが押し込まれないと開かない構造になっている。
64DDディスクは当初「ダイナミック・データ・ディスク」と呼ばれていたらしい。ソフトウェア自体を収める容量としてはCD-ROMの1割しかないが、容量の半分以上が保存領域になるためセーブ・データを保存する媒体としては確かに大容量である。ちなみにランドネットからの配布当時に発売されたプレイステーション2のメモリーカードでさえ8メガバイトである。
64DDディスクの特徴は、1つのディスクにソフトウェアと書き換え可能領域を両方持ち合わせていることにある。カセットのようにソフトウェアとセーブデータが一体でありながら、ディスクの入れ替えにより他のディスクとデータを連携できる。また、ひとつひとつのディスクがID(識別番号)を有し、同じタイトルでもディスクの個体が識別される。
64DDディスクの手前側には細長いシールを貼れる。シールは各ディスクのケースに同梱されており、タイトルが印刷されたものと、枠だけが印刷された予備用が、ひとつの台紙にある。タイトルが印刷されたものは、64DDソフトに共通の書式となっている。このシールを貼り付ければ、64DDに入れたディスクがすぐに判る。なお『巨人のドシン1』では枠だけのシールが無い代りにロゴが印刷されており、『プロゴルフツアー64』では枠とメディアファクトリーのロゴが印刷されている。
64DDディスクは「専用ケース」に入れて保管する必要がある。「専用ケース」はプラスチック製で、一般的な音楽CDのケースよりも高さが少し低く、そして厚い。ケースには、ディスクの他に説明書も入れられる。またCDと同じくケース自体が外箱となる。
64DDと同じくアルプス電気株式会社が製造して任天堂に納品した。なお、ソフトの開発者がデバッグなどで使用するための青い64DDディスクが存在する。青い64DDディスクは開発者用の64DDでなければ利用できない。
NINTENDO64の動作用メモリーをおよそ4メガバイト分(正確には36メガビット)増設するメモリー。NINTENDO64の「36PIN拡張端子」に装着する。NINTENDO64には36メガビットの動作用メモリーが搭載されているが、メモリー拡張パックによって約8メガバイト(正確には72メガビット)に増設できる。メモリー拡張パックは「ハイレゾパック」の名称が変更されたものであり「ハイレゾパック」と名称以外は同じである。
上部には放熱のための穴が開けられており、メモリー拡張パックであることが一目でわかるよう赤色になっている。一度装着すれば二度と外す必要は無く、むしろ端子の耐久性を考慮すると取り外さないほうが良い。
64DDに必須であるため64DDに同梱されている。しかし「ランドネット スタータキット」の配布と近い時期に発売された『ドンキーコング64』や『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』にも同梱されており、メモリー拡張パックの余った利用者の少なくないことが当サイトの調査結果からも窺える。
なお、メモリーとはソフトウェアの作動に必要となる記憶装置である。ソフトウェアの対応にもよるが、メモリが多くなれば画面が高精細になったりゲームの仕掛けを巧妙にできたりする。64DDの作動に必須なのは、ディスクから読み出したデータをキャッシュする(読み書きの速い装置に溜め込む)のに必要だからであろう。
NINTENDO64の「36PIN拡張端子」に予め装着されている「ターミネータパック」を、てこの原理で取り出す道具。「ターミネータパック」を「メモリー拡張パック」に差替えるために使う。「メモリー拡張パック」は抜く必要がないので、一度使ったら用済みとなる。型番が与えられているものの周辺機器というよりは付属品である。
ちなみに「ターミネータパック」はNINTENDO64に搭載されている動作用メモリの構造上必要なもので、「メモリー拡張パック」を装着しない場合には必須となる。購入時のNINTENDO64に装着されている「ターミネータパック」に、白い文字で「このシールをはがさないでください」と書かれたピンク色の派手なシールが貼ってあるのはそのためだ。
NINTENDO64のカセット挿入口に挿し込む。標準的なNINTENDO64用カセットよりも少し背が高い。背面にはモジュラー・ジャックがあり、そこに電話回線のモジュラー・ケーブルを繋ぐ。前面の中央には緑に光るランプがあり、ダイヤルアップ時には点滅し、通信時には点灯する。通信設定がパルス式に設定されている場合にはダイヤルアップ時に「カタカタカタ」と音を発する。トーン式のときは無音。
外観は半透明の黒だが、1999年に行われた任天堂の製品展示会「NINTENDOスペースワールド'99」での展示では半透明の白であった。通信機器であるため技術基準適合認定製品(認定番号:A99-0539JP)となっている。通信速度は28.8Kbps(1秒あたり3.6キロバイト)。
至って普通のモジュラーケーブル。電話回線とNINTENDO64モデムを繋ぐために「スタータキット」に同梱されている。型番から推測するとファミリーコンピュータ時代のものを流用しているようである。ただしケーブル自体に型番の表記は無い。もしかすると製品そのものは64DD配布当時に製造されたもので、型番だけを流用しているのかもしれない。
カセットの裏面に、コンポジットビデオ信号を受け付けるRCA端子(多くの家電で用いられている、映像と音声の接続端子)と「NINTENDO64マイク」のためのマイク端子を装備している。ビデオカメラやデジタルカメラといった機器からの映像や音声を取り込める。『マリオアーティスト タレントスタジオ』に同梱されており「マリオアーティスト」シリーズだけがこのカセットに対応している。取り込める画像の質は良くないが、他のゲーム機には見られない珍しい種類の周辺機器である。
なお、マイク端子に「NINTENDO64マイク」以外のマイクを接続しないこと。電力が供給されているらしく、一般的なマイクを接続するとそのマイクを損傷するおそれがある。
『The64DREAM』1998年4月号の98ページに掲載されている写真の開発版と、実際に配布された製品版では、端子の配列や細部の色など所々が異なる。
NINTENDO64専用のマイク(音声入力装置)。『マリオアーティスト タレントスタジオ』に同梱されている。「NINTENDO64 キャプチャーカセット」に繋いでキャラクターの声などを吹き込める。マイクカバーはスポンジ製でマイクに被さっている。マイクカバーは息の音がマイクに入るのを抑える。
ちなみにこのマイクとマイクカバーは、型番や外観からして『ピカチュウげんきでちゅう』および『電車でGO! 64』の「NINTENDO64 VRS」同梱版に同梱されていたものと同じものである。
NINTENDO64専用のマウス(画面座標指示装置)。ボタンは2つあり、左のボタンには浅い突起が複数ついている。『マリオアーティスト ペイントスタジオ』に付属している。64DDソフトでは「マリオアーティスト」シリーズだけが対応しているが、カセットでは『デザエモン3D』が密かに対応している。ちなみに未対応のゲームで使うと、マウスの動きが3Dスティック、左ボタンがAボタン、右ボタンがBボタンの役割を果たすが、あまり役に立たない。
1998年頃は、NINTENDO64のロゴが入ったマウスパッドが添付される予定だったが、どうも廃案になったようだ。
NINTENDO64専用のキーボード(文字入力盤)。クリアブラックのボディに、水色と青色のキー(ボタン)が並んでいる。キーは薄い水色。セタが開発し、ランドネットDDが4600円で販売した。キーの配列は、基本的にはQWERTY式。右上には3つのランプがあり、左から「Num」「Caps」「Pow」(「Pow」は電源ランプ)。キーの押し心地は、決して軽快とは言い難い。小さいシールと、それを「ランドネットディスク」での役割に相当するキーに貼り付けるように指示した紙片が付属されている。
対応ソフトは「ランドネットディスク」のみ。「ランドネットディスク」の配布から2ヶ月ほど経った頃にランドネットで通販された。「ランドネットディスク」側の不具合により、押したキーと違う文字が入力される問題があり、その問題に対応した「ランドネットディスク」が後に希望者へ配布された。型番から推測すると、NINTENDO64の周辺機器というよりは「ランドネットディスク」のオプション品と考えたほうがよかろう。ランドネットの終了時には「ランドネットディスク」が用無しになるためキーボードの代金は返金された。
外観がクリアブラック(透明な黒)のNINTENDO64とコントローラ1個。ランドネットの入会コースで「Aコース」(初年度月々3300円)を選んだランドネット会員に配布された。性能は普通のNINTENDO64と変わらないが、このクリアブラックのNINTENDO64はランドネットでしか手に入らない。ランドネットの通信販売にて12800円で買うこともできた。メモリー拡張パックの有無をひと目で確認できるが、内部の基板は大きな放熱板により殆ど見えない。