Intel NUCを使った小型パソコンの組み立て方

この文書は、インテル社が製造販売しているパソコン組み立てキット「NUC」(ネクスト・ユニット・オブ・コンピューティング)を使った、実用的な小型デスクトップパソコン(ミニPC)の組み立て方を説明しています。

Intel NUCの用途と特徴

Intel NUCを使って組み立てたパソコンは、以下の用途に向く。

インテルNUCの際だった特長は、その小型さである。設置面積はCDケースよりも小さく、幅と奥行きがそれぞれ12センチに満たない。それでいて、意外と性能が要求される今どきのウェブ閲覧や、ある程度の画像処理などの作業にもストレスのない性能と静音性を実現できる。

ただしNUCには、国内メーカー製の市販パソコンと違ってOSやOfficeアプリといったソフトウェアのほか、キーボードやマウスなども付属しておらず、別途購入する必要がある。また部品を寄せ集めて作るので、パソコンの面倒をすべて見てくれるサポートは受けられない。購入を検討する際は、予算とサポートに注意してほしい。

組み立てに必要な経験

Intel NUCの組み立ては、いわゆる「自作パソコン」の組み立てよりも簡単ではあるが、プリンターのインクを交換するよりは難しい。以下の経験や知識があると組み立てやすく、何らかのトラブルにも対処しやすい。

部品選び

パソコンを組み立てる上で一番大事なのが部品選びである。ここでは 2016年7月時点で最新の高スペックNUC「NUC6i5SYH」を使った構成を想定して解説する。NUCのモデルによっては、対応するメモリとSSDが異なるので注意してほしい。

NUC

「NUC6i5SYH」は、CPUにCore iシリーズ第6世代(通称:Skylake)のIntel Core i5-6260Uを搭載し、SSD用M.2スロットのほか、内蔵型SSDやHDDを搭載できるSATA3の2.5インチベイを備える。IEEE802.11ac対応の無線LANとBluetooth 4.1を内蔵し、映像出力端子はHDMIとMini DisplayPortを備える。4つのUSB3.0端子、ギガビットEthernet(LAN)端子、ヘッドフォン・マイク兼用端子、側面にSDカードスロットもあるので、家庭用のメインパソコンとして常用できる構成になっている。

以前のNUCは電源ケーブルが同梱されていなかったが、当機では直接コンセントに挿せる小型の電源アダプタが同梱されている。

スペックは以下の公式ページを参照。

NUC6i5SYHの他にも、インテルからは同世代のCore iシリーズを搭載したNUCが発売されている。2.5インチベイを省略した薄型や、CPUに格下の同世代Core i3シリーズを搭載した安価なものがある。用途と予算に応じて検討するとよい。

-2.5インチベイあり2.5インチベイなし(薄型)
Core i5(第6世代)搭載NUC6i5SYHNUC6i5SYK
Core i3(第6世代)搭載NUC6i3SYHNUC6i3SYK

Intel Core i5-6260Uがどの程度の処理能力を持つのかは、以下のベンチマークサイトが参考になる(0.1GHz違うのが少し気になるが)。現在使っている、もしくは他に購入を検討しているパソコンのCPUも調べることで、処理性能を比較する大まかな目安になる。

メモリ

「NUC6i5SYH」に対応するメモリは、DDR4 S.O.DIMM(ノートPC用のDDR4メモリ)である。誤ってDDR3やDIMM(デスクトップPC用メモリ)を買わないよう注意すること。

用途にもよるが容量は8ギガバイトか16ギガバイトで充分だろう。今どきはメモリが安いので、余裕のある容量を選ぶ。処理能力の向上に作用するデュアルチャネルを活かす場合は、2枚組を購入する。

メモリ選びでは最低限、規格と容量に注意すればよい。メーカーやブランドにこだわることもできるが、よほど悪評のある製品でなければ問題はないだろう。

SSDまたはHDD

OSのインストールに必要な内蔵ストレージとなるSSDは、NUC6i5SYH(以下、当NUC)の場合には「M.2」規格と「SATA3 (2.5インチ ドライブ)」規格どちらの製品を使ってもよい。当NUCで使えるM.2のSSDは、幅22ミリ×長さ42ミリの「2242」か、同じ幅で長さ80ミリの「2280」。なお以前のNUCが対応していた「mSATA」には対応しないので注意。

速度より容量を重視して、SSDではなく2.5インチHDDを使ってもよいが、対応する厚さは9.5ミリまで。当文書では2.5インチドライブを拡張用に空ける想定で、M.2規格のSSDを前提に解説する。

容量は、OSやアプリのほか、データ保存を考えると最低でも128ギガバイトは必要となるだろう。2016年7月現時点で値頃なのは256ギガから512ギガバイトの製品。現在使っている容量を考慮し、価格.comで製品を選ぶとよい。

オペレーティングシステム(OS)

NUCにWindowsをインストールする場合、現状ではWindows 10を推奨する。それより古いOSではインストールに失敗したり一部のデバイスが認識されない場合がある。また現時点でサポート期間が2025年10月14日と最も長い。インテルCore iシリーズ第6世代(Skylake)のCPUに対しては、Windows 7や8.1のサポート期間が当初より短い2018年7月17日に設定されたことも考慮したい。

パッケージ版のWindows 10は、インストール時に32bit版か64bit版を選べる。またメディアがUSB 3.0メモリなので、DVDドライブがなくてもインストールできる。HomeとProのどちらを選ぶかは用途と予算によるが、Windows Updateをある程度制御したいならProを推奨する。

なお、残念ながら現状のamazon.co.jpでは、レビューを見る限り正規版ではないものを買ってしまうおそれがあるようなので、心配ならばヨドバシビックカメラなど大手家電量販店やそのサイトで買うことも検討したい。

インターフェイス類

本体だけではパソコンとして使えないので、以下が必要になる。安価なものでも構わない。ディスプレイ (液晶モニタ) は安いもので1万円程度からある。他は数百円から。

ディスプレイはHDMI端子を備えた液晶テレビで代用してもよい。また、スピーカーを内蔵しているディスプレイや液晶テレビとHDMIで接続するなら、スピーカーは不要。

USBメモリ

組み立てる際に何かと役立つ。

組み立て工具

組み立てに最低限必要な工具は、一般的な1番と2番のプラスドライバー (ねじ回し) だけである。標準的な大きさの2番はNUCのケース裏、それより小さい1番はM.2 SSDの固定に使用する。

静電気や手油でパーツが故障することを避けるため、静電気防止手袋の利用を推奨する (気休めかもしれないが)。

ドライバソフトのダウンロード

NUCは、Windowsをインストールしただけの状態ではドライバソフトが足りず、ネットワーク(インターネット)に繋げない場合がある。既存のパソコンを使ったりパソコンを借りたりなどして、あらかじめインテルのサイトからドライバソフトをダウンロードしておくこと。ダウンロードしたら別途USBメモリなどに保存しておき、Windowsのインストール後に利用する。

NUC6i5SYHのドライバソフトは以下のサイトからダウンロードできる。「任意のオペレーティング・システム」と書かれた青いボタンを押すと、インストールするOSに必要なものだけを表示できる。すべてダウンロードしておくとよい。

おおよそのドライバソフトとその意味は以下の通り。なお実際の名称には末尾に「for Intel® NUC6i[x]SY and NUC6i7KYK」や「for Windows® 10」などが付く。

名称対象デバイス
Intel® Chipset Device Softwareシステム(マザーボード)
Intel® Ready Mode Technologyシステム(マザーボード)
Intel® Management Engine Driver (1.5M)システム(マザーボード)
Intel® HD Graphics Driverグラフィック(画面表示)
Realtek ALC* Audio Driverオーディオ(音声入出力)
Intel® Wireless Technology-Based DriverWi-Fi(無線LAN)
Intel® Gigabit Network Connection DriverEthernet(有線LAN)
Intel Bluetooth* Technology-Based DriverBluetooth
Intel® Rapid Storage TechnologySSD
Infrared: ITE Tech* Consumer Infrared (CIR) DriverNUC前面にある赤外線
Intel® Serial IO Driver本体内部のシリアルI/O
Near Field Communication (NFC) GPIO driverNFC(初期状態では必要なし)

組み立て

NUCへのSSDとメモリの装着方法は、アスキーが公開している動画が参考になる。

メモリは、基板に近い端子へ先に装着する。また端子への装着は、メモリを斜め (端子の逆側が起きた状態) に差し込み、端子がほとんど隠れるまで入れてから倒す。メモリの左右にある金属のロックがカチリと填まるまで倒れたか確認すること。

NUC本体の組み立てが終わったら、キーボードやマウス、ディスプレイ、電源を繋ぐとハードの準備は完了する。

BIOSの設定と動作チェック

BIOSの設定を確認する

NUCのBIOSが初期出荷状態でおかしな設定になっていることはまず無いはずだが、念のため各種設定を確認しておくとよい。NUCの電源を入れて、Intel NUCのロゴが表示されている間にキーボードのF2キーを押すと、BIOS画面を開ける。

メモリをチェックする

装着するメモリが万が一故障していると、OSが止まったりデータを破損するおそれがある。Windows 10をインストールした後に標準搭載の「Windows メモリ診断」を使ってもよいが、OSをインストールする前に本格的なメモリチェックをしたいならば「Memtest86+」を利用するとよい。Memtest86+のダウンロードおよび解説サイトは以下を参照。

Memtest86+は特に停止の操作をしなければ何回でもメモリのチェックを行ってくれる。これは動作温度などが上がった場合の耐久テストに使えるのだが、メモリをチェックするだけならば、1回終わった段階でエラーがないことを確認できれば中断してよい。

Windows 10のインストール

余計な外部ドライブを接続せずに、Windows 10のインストールUSBを挿した状態で再起動することで、Windowsのインストーラーが起動する。Windows 10のインストールは、パッケージ版のUSB3.0メモリであれば15分程度で終わるだろう。

基本的には画面の操作に従えばよいのだが、どのような画面が表示されるのかは、以下サイトの「クリーンインストールの手順」の項目も参考にするとよい。

  1. 「Windows Boot Manager」と書かれた黒い画面では、インストールするOSのビット別バージョンを選べる。特に理由がなければ「Windows 10 Setup (64-bit)」(64ビット版)を選ぶこと。
  2. 「Windows のライセンス認証」画面が表示されたら、プロダクトキーを入力する。プロダクトキーはパッケージの右側に入っているカードの裏側に記載されている。
  3. 「ライセンス条項」の画面が表示されたら、「同意します」にチェックを入れて「次へ」ボタンを押す。
  4. 「インストールの種類を選んでください」の画面が表示されたら、下側の「カスタム:Windows のみをインストールする」を押す。
  5. 「Windows のインストール場所を選んでください」の画面が表示されたら、種類の欄が「プライマリ」になっているドライブを選んでから、下部の「フォーマット」を押す。それが済んだら「次へ」ボタンを押す。
  6. インストールが始まるので、しばらく待つ。USB3.0メモリからM.2 SSDへのインストールなら10分もかからないだろう。Windows 10のデスクトップ画面が表示されたら、インストール完了。

ドライバのインストール

予めダウンロードしてUSBメモリに保存しておいたドライバーソフトを一旦Windows 10のデスクトップにコピーする。コピーしたら、ドライバーソフトのインストーラー (拡張子が.exeの実行ファイル) を起動して、各種ドライバをインストールする。それが終われば、パソコンとして使う準備は完了する。